塗装用語の混乱を解消!5つの視点で整理する「塗装の種類」入門

塗装

塗装には、さまざまな種類があります。
焼付塗装、粉体塗装、ウレタン塗装、防錆塗装、など……様々な「⚪︎⚪︎塗装」というワードを聞いたことがあると思います。これらの中には塗装の役割を指す言葉もあれば、塗料の種類や塗装方法、仕上がりを指す言葉もあり、すべてが横並びの概念ではありません。

多くの人が混乱するポイントです

たとえば、「粉体塗装と焼付塗装の違いとは?」という質問をいただくことがありますが、この2つも厳密には横並びの言葉ではありません。
粉体塗装は塗料の形態や塗り方を指す言葉であり、焼付塗装は塗膜を硬化させる工程を指す言葉です。そのため、どちらが良い/悪いという比較ではなく、実際には組み合わせて使われるケースも多くあります。

というのも、塗装には「美観・保護・機能」といった役割があり、同じ“塗る”という行為でも、何を実現したいかによって選ばれる塗料や工法は変わります。

そして、ほとんどの場合、塗装で果たすべき役割はひとつではありません。
たとえば、屋外に設置される看板を塗装する場合でも、色をきれいに見せるだけでなく、雨や日差しにさらされても劣化しにくいことや、長く使える状態を保つことが同時に求められます。

さらに実務では、数量・コスト・納期・設備条件といった制約も加わるため、目的は同じでも採用される塗装方法が異なることもあります。

この記事では、塗装の種類を構造的に整理し、様々な「〇〇塗装」というワードを網羅的に解説します。塗装の知識がない人でも、まずは塗装の種類の全体像をつかめる内容になっています。順に見ていきましょう。

塗装の種類

塗装の種類は、いくつかの異なる視点で分類することができます。
ここでは、用途・機能・塗料・工法・仕上がりといった軸ごとに整理し、それぞれどのような意味で用いられる用語なのかを整理していきます。

「用途」で分類される塗装の種類

用途による分類は、「どんな目的・シーンで使われる塗装か」という文脈での呼び分けです。

これらは、技術的な専門用語というよりも塗装が使われる場面や位置づけを示す呼び名です。

工業塗装工場設備や産業機械を対象とした塗装全般の総称
意匠塗装見た目やデザイン性を重視した塗装
建築塗装建物や建築部材を対象とした塗装
補修塗装既存塗膜の劣化・損傷部分を補うための塗装

「機能」で分類される塗装の種類

機能による分類は、「塗装が何を実現するか」という性能面に着目した整理です。

工業分野では、素材を守る・性能を付与する目的で語られることが多いです。

たとえば次のような塗装の種類があります。

防錆塗装金属の錆を防ぐことを目的とした塗装
防食塗装腐食や劣化から素材を守るための塗装
耐熱塗装高温環境下でも性能を維持するための塗装
耐薬品塗装薬品や溶剤への耐性を持たせる塗装
遮熱塗装熱の吸収を抑えることを目的とした塗装

「塗料・材料」で分類される塗装の種類

塗料・材料による分類は、「何で塗るか」に着目した整理です。

塗膜の性質や耐久性に直結するため、実務で頻繁に使われる分類でもあります。
実際の選定では、塗る対象への密着性、求められる耐久性、使用環境、コストなどを踏まえて使い分けられます。たとえば、次のような塗装です。

ウレタン塗装バランスの取れた耐久性を持つ汎用的な塗装
エポキシ塗装密着性・防錆性に優れた塗装
フッ素塗装高い耐候性を持つ高耐久塗装
アクリル塗装乾燥が早く、比較的扱いやすい塗装
シリコン塗装耐候性とコストのバランスに優れた塗装

「塗装の工法」で分類される塗装の種類

塗装方法・工程による分類は、「どのように塗るか」「どの工程で仕上げるか」に着目した整理です。

工業設備・作業性・量産性など、現場条件に強く関係します。

焼付塗装加熱によって塗膜を硬化させる工程
粉体塗装粉末塗料を静電気で付着させる方法
溶剤塗装液体塗料を用いる一般的な塗装方法。幅広い材料・用途に対応
静電塗装(帯電塗装)
静電気の力で塗料を付着させる方法。塗着効率が高い。
電着塗装電流を利用して塗料を被塗物に付着させる方法。均一な塗膜が得られる

「仕上がり・外観」で分類される塗装の種類

仕上がり・外観による分類は、「どのように見えるか」「どんな質感・印象になるか」に着目した整理です。
この分類に出てくる「〇〇塗装」は、塗料名や工法名ではなく、完成した塗膜の見た目や性質を表す呼び名として使われます。

実務では、技術的な話よりも先に「こういう見た目にしたい」「触った感じをこうしたい」という要望から相談が始まることも多く、イメージしやすい内容だと思います。

よくあるものとしては以下のような塗装が該当します。

艶あり/艶消し塗装光沢の有無による仕上がりの違い。見た目の印象や反射の強さが変わる
ゴム塗装(ラバー塗装)ゴムのような柔らかい触感や弾性を持つ塗膜。触ったときの印象を重視した仕上がり。
蓄光塗装光を蓄えて暗所で発光する仕上がり。見え方の特徴として語られることが多い
シボ塗装表面に凹凸のある質感を与える仕上がり。触感や見た目の印象に影響する

塗装のご相談前に知っておくと良い視点

ここまで見てきたように、塗装の種類にはさまざまな分類軸がありますが、
実際の現場では、それらを単純に一つずつ当てはめて決めるわけではありません。

塗装の選定は、「何を実現したいか」と「どんな制約があるか」をあわせて考えることで決まります。たとえば、実務では次のような判断が行われます。

  • 性能的には最適な工法があっても、専用設備が必要でコストが高く、少量品では現実的でないため別の工法を選ぶ
  • 多少性能を抑えても、納期やコスト、設備条件に合う工法を選び、全体としてバランスを取る

このように、塗装の選定は「理屈の上で一番良い方法」を選ぶというより、目的・条件・制約の中で成立する現実的な方法を組み合わせていく作業になります。

実際に塗装を依頼いただく際には、こうした条件を踏まえた最適な方法を、私たちのような塗装業者がプロの視点で提案します。

この記事で整理したように「塗装の種類がどの軸で語られているのか?」という視点を持っておくと、ご相談内容が整理しやすくなるはずです。
紹介した塗装の種類は一部ではありますが、迷ったときの整理のガイドとしてぜひ参考にしてください!